子連れ南フランス・イタリア・スイスドライブ vol.19
2013.08.10
ブレイユ・シュル・ロワイヤ ⇒ アプリカーレ 36km 45min
タンド線の三都市タンド&サオルジュ&ブレイユ・シュル・ロワイヤを終えて、今夜の宿のあるイタリアはアプリカーレへ。ブレイユ・シュル・ロワイヤから10分も走れば、山の緑に囲まれたドライブルートは終わりを告げ、だんだんと海の町の景色に変わって来た。道も広く直線になり、脇を流れる川は河口に近づいてきたので川幅も広がって来る。上に見えるハイウェイはニースに向かう車が渋滞。土曜日の夕方。ニースに入る人も多いはず。3年前にニースに行く際も夕方の道は混んでいた。
フランスとの国境、イタリアの海岸沿いのVentimgliaは混雑。ニーズ程ではないけれど、人と車が多い。今日ドライブして来た町や村が小さかった為に、とっても大きな町に感じる。そしてこの賑わっているVentimglia交差点を北に曲がると、人通りも建物も急にすくなくなり、そして田舎道になった。
しばらくしてすぐに、小さな町が現れる。こじゃれた町ではないけど、道沿いにあるバールでビールやカフェを飲むお爺さん達がいたり、ビーチアイテムを扱う売店もまだ開店中。なんだか活気のある町だ!
そんな町を過ぎるとまた町が現れた。右手に流れる川の向こうに何かがありそう。アプリカーレの手前に素敵なイゾラボーナの町があったではないか!今日は時間がないので、明日寄ってみよう。
そして、このイゾラボーナの先を東方向に曲がると山の斜面に石の集落が!あれがアプリカーレだ!タンドの町並みを素晴らしかったけど、それ以上に素晴らしい山の斜面の石集落。スペインのアンダルシアで出会った白い村を思い出す。こっちは灰色の村だけど。
道はだんだん細くなる。後ろから車が来ているから方向はあっているはず。路駐の車も目立ち始めるけど、まだまだ先。このアプリカーレ、道が細くてたどり着けるか心配だったので、事前にグーグルマップの航空写真で確認済。宿周辺の様子も把握済み!すれ違いギリギリの村の道。路駐駐車があればすれ違いができない。こんな山奥なのにこんなにまで人も車も多いなんて!びっくり。でもガイドブックには全くのっていないこのアプリカーレの村。
18:30 B&Bの看板発見。駐車場は近くの公共駐車場ってあったけど、この辺りもう路駐できるスペースはもう埋まっているなぁ~。と思っていると、警備の村人がやって来て、早く車を移動するようにって。この先に駐車場があるからそこに行かなければならない。とりあえず、荷物だけ降ろさせてください。すると、おばちゃんがやって来て、警備のおじさんに、「この人たちはこのB&Bのお客だから、荷物だけ降ろす時間をあげて。」と言ってくれたようだ。タバコをくわえた、ここの住民臭バリバリ漂うおばちゃんのおかげで取り出すことができるスーツケースとキャリーケース、寝入ったナッツをベビーカーに乗せて、ベリーは抱っこ。B&Bは坂の途中にある。坂の下で待っていると、さっきのおばちゃんが、「このお店の入り口に置きな。」ってタバコを吹かしながらおばちゃんが言ってくれた。お言葉に甘えてお店の入り口に荷物を置いてダーリンを待つ。このお店の前には手作りの可愛い子ども服が飾ってある。手にとって興味深く見ていると、「それ私が作ったのよっ。」っておばちゃん。意気のいいおばちゃんはこのお店の主人でした。既製品とは違う素朴感のある子ども服。布地の組み合わせも日本では見かけない、どちらかというと古風な生地とその組み合わせがかわいい。
ダーリンがまだ来ないので、お店の中も見せてもらうとワインが売っている。ここ地域のワイン。それにおばちゃんの手作り商品がこちらにもある。毛糸で作った小物もほとんどすべてが子ども用品。おばちゃんの趣味が詰まった田舎のお店。そして、このお店の入り口のすだれと言うか、カーテンと言うのか、毛糸のような素材でできた猫のしっぽ(?)が何十本も垂れ下っている。ナッツはこれ見て「猫のしっぽだぁ~、ほらフワフワ~。」と言って触って楽しんでいた。
ダーリンがようやく到着。離れたところに止めたらしく、ほとんど満車状態らしい。よかったぎりぎり駐車できて。B&Bの受付に入る。前に一組チェックインをしている。20歳くらいでとってもおっとり話すお姉ちゃんが、片言の英語でチェックインを受け付けている。順番が回って来てパスポートのコピーを取ったり、クレジットカード番号を控えたり、なんだか時間がかかる。そして、「子どもがいるから、予約時とは違う部屋を案内しますね。」と言って部屋に案内してくれる事に。あれ?このレセプション横の階段ではないのかなぁ?
一度外に出て、お姉ちゃんも鍵を持って「こちらです。」と言って坂道を登り始めた。B&Bの斜め前にはミッシェランの星をもらっているレストランがある。雰囲気もいいし、とにかく美味しそう。そんなレストランを通り過ぎ、急な坂道を登る。スーツケースとキャリーケースは先に運んでくれたので助かった。みーこはベビーカーを押し、ダーリンはナッツを抱っこして坂を登る。数分歩いても着かない。「もっと先よ。」とお姉ちゃん。ピザッテリアもお土産屋さんもまたまたレストランの横を通り過ぎる。下ばかり見て歩いていたので、気付くと石の壁と言うか、トンネルと言うか石壁で囲まれた細い道を歩いている。大人が3人横に並べばいっぱいくらいの狭い道。そして、エンジン音が後ろから聞こえて来た!こんなところに?と思うと、我らの荷物を運ぶカート。このカートもこの道スレズレ!このB&B専用の荷物運びのカート。この村に動く乗り物と言ったらこれくらいだ。
石畳の坂道を歩くこと5分強!急な坂でデコボコが激しいので、もっと時間がかかっていたように思える。ようやく部屋に着いた。なぜチェックインしてから、部屋に着くまでにこんなに石畳の急な坂道を登らなければならないんだァ???と思いつつ、部屋は普通の一軒家その物。どうやら、ここのB&Bはこのアプリカーレの集落で使っていない家や部屋を宿泊施設として貸し出していいるようだ。だから、宿泊客はあちらこちらの部屋と言うか、家に泊まるので、宿泊客はこの村のあちらこちらに散らばって泊まる。
外は古い石壁で重々しい雰囲気だけど、部屋の中は一転、フェアリーな女の子のお部屋のイインテリア。ベッドの上の壁にはおとぎ話の蝶々がデコレーションされていて、天井もアーチ状だったり、バスルームは紫色のタイルで色付けられていたり、さらに奥の(先には行けないけれど・・・)階段にはライトアップされていてワクワクするようなメルヘンのお部屋です。まるで受付のお姉ちゃんのようなおっとりする部屋。
しかし、このメルヘンのお部屋にたどり着くまでに、かなり歩いた。今まで泊まった宿の中で最高に印象深いお宿。ベビーカーを押しながら部屋にたどり着くまでは、嫌になったけど、この村の住民のように一軒家で一晩過ごせるなら来る価値があるお宿。
するとナッツが「おもちゃが足りない~!車に取りに行く~!」って騒ぎ始めた。また、この坂を下って、離れた駐車場まで行くのぉ~?親としては反対だよぉ~。ご飯を食べるところを探そう。
外に出るとなんだか賑やかだ。音がする方に行くと、ちょうど部屋の裏に当たるのか、教会と広場があった。そして、特設ステージが設けられている。たくさんの人が集まっている訳は、これで納得。路駐の車も村から外れた駐車場が満車状態なのも、人はここに集まっていた。パニーニや焼き菓子、ドリンクや、フライなどブッフェスタイルと書かれているけど、日本流に簡単に言えば、祭りの屋台。好きな物を買って広場に用意されたテーブルで食べる。楽しそうだけど、さっきあったミシュランの星をもらっているリストランテにしよう!
来た石畳の道を歩く。さっきは無我夢中でベビーカーを押して歩いていたから、雰囲気をよく見ていられなかったけど、よくよく見るととっても趣のある村。狭い通路は、寄りそう様に建つ無造作な曲線の石壁で暗くひんやりしている。ドアや窓の奥には、そのままのイタリアの生活が垣間見える。夕食を作る音や、家族の話し声。その民家の間にお土産屋さんがあったり、工房があったり、レストランがあったり。賑やかな観光地化はしていなく、手つかずの山に潜んだ絶壁の村。でも観光客は多い。登り坂ではとっても長い距離に思えたけど、下り坂ではあっという間に、レセプションのある坂の入り口にやって来た。
レストランのウェイターに声を掛けると、「今日は予約でいっぱいです。」と断れてしまった。こんな山奥のレストランでも予約でいっぱいなんだ。予約って大事!勉強になりました。
さっきのおばちゃんが店じまいをしようとしている。明日の朝開いているかわからないので、今ここでワインを買って行こう。赤と白を1本ずつ買って、おばちゃんありがとう!
なら先に駐車場に行ってナッツもおもちゃを取りに行こう。駐車場はそれほど離れていはいなかったけど、それでも村の中心の外れ。だからここから見るアプリカーレが夕日に映えて美しい。シャッターチャンス!と思って写真を撮っていると~・・・・電池切れ・・・・そんな~・・・・
そろそろどこでご飯を食べるか決めよう。
坂の入り口にも家族経営のレストランがある。それとも石壁の中にしようか。もう一度石畳の坂を登る。すると、椅子に座って、村の案内か何かをしている女性が、「どうやってこの町を知ったの?」と尋ねて来た。そりゃ~日本人どころかアジア人だって誰もいない。いるなら、イタリア人かフランス人か。「サンレモのホテルを探していたら、このアプリカーレのB&Bを見つけて、面白そうだから、ここに来てみたの。」と答えた。サンレモは大きな港町で、カジノもあるから泊まりたかったけど、バカンスシーズンの海岸沿いの宿泊施設は値段も高いし、いい所は満室状態。だから、少し離れた所も視野に入れたら、このアプリカーレがヒット。B&Bの雰囲気もいいから決めただけ。そしたら、とっても感動的な村だったというわけ!来て見ないとわかりませんねぇ~。
この女性のいる前にもレストラン。中に入って席がある聞いてみると、「コース料理」と言われたので、ちょっと不向きかな・・・しかたないので、さっきの家族経営のレストランにしよう。
が・・・せっかく下まで下って来たのに・・・満席とのことでまたもや断られてしまった・・・
20:20 今夜は広場のブッフェスタイルに参加するしかない。またもや石畳の坂を登り、教会のある広場に行く。人はいっぱい。空いているテーブルを見つけて、陣取り。みーこたちが席についている間に、ダーリンが買い出し。まずはビールとウォーター、フライドポテトとズッキーニの花のフライ。ズッキーニの花のフライは1つ€1.安くて美味。
次はみーこの番。作り置きのグリル料理が並んでいるけど、アルミホイルを覆っているのでちょっと中身がわからない。たまたまホイルが取れている(バジル)ペストのラザニアが気になるので買ってみよう。あれ~、前の人の方が量があったよぉ!適当に切り分けて紙皿に乗せるので量もバラバラ・・・ちょっとショック・・・屋台の料理、これで€7は高い!
味はおいしいけど、グラタン皿に盛りつけてあって、作りたてならもっと美味しいんだろうな。でもナッツには不評で、再びダーリンが買い出し。今度は生ショートパスタのナポリターナと白ワイン。こればこれで美味しい。サラダが欲しくなったので、違う屋台でサラダを注文。目の前にディスプレイがないので名前で判断。するとライスサラダが出て来た。う~ん、これってちょっと違うけど、今この広場にあるメニュでさっぱり味はきっとこれしかない・・・。
21:00 すると、だんだん周りのテーブルが片付けられて行く!なんだ!なんだ!我らのテーブルにもその波は押し寄せて来た!「ごめんねぇ~」と言うように、まだ食事が終わっていないけど、テーブルとイスが片付けられてしまった。食べかけの料理と飲みかけのワインを持って広場の隅に避難!
広場に設けられたステージ上にチャップリンもどきが登場。もちろんイタリア語なので何を話しているのかわからないけど、イタリア語のリズムで楽しい気分になる。みーこたちでも愉快にしてくれるイタリア語ってすごい!これはムービーに録画するべきだ!と判断して、ナッツとベリーを連れて一度部屋にムービーを取りに戻る。
部屋でムービーを取り出して、部屋を出た所から録画開始!片手でベリーを抱っこし、もう片方の手でムービーを回す。石畳のゴツゴツした薄暗く狭い道を歩く。猫がいたり、すれ違う人がいたり、ありのままのアプリカーレの夜の姿をムービーに納める事ができる。
広場に戻ると、みんなステージの周りで大いに賑わっている。ダーリンは広場の隅に残された椅子に座って待っていた。みーこはおもしろいステージの様子を録画。
しばらくすると、右手と左手に人が分かれ始めた。まるで、某番組の〇か×かに分かれるように!それから、ぞろぞろとみんな移動して行く。どこに行くんだろう。そして広場からみんな去ってしまった。イタリア語がさっぱりわからないので、これ以上居ても仕方がないから部屋に戻ろう。ただわかったのは、このステージの劇の一環でみんなでこのアプリカーレの村のツアー?に出かけたって事。
そしてさらわかって来たのが、部屋に戻る途中に、女装した黒服に黒い帽子、真っ赤な口紅を塗って、つけまつげもバリバリの2人の男性が数段高い所で立っている。どうやらこの劇の一部のステージのようだ。それから別のところに〝ハリー・ポッター”に出てくる、森に住んでいる巨人ルビウス・ハグリッドのような大男がドカンと椅子に座って観衆が来るのを待ちわびている。観衆の群れから外れて歩いているみーこたちに微笑んでくれた。もちろん、ナッツがバイバイって手を振ると、手を振って応えてくれるオカマちゃんとハグリッド。
それにしても、デザートとして買ったカップのジェラ―トを持ちながらベリーを片手で抱っこし、もう片方の手で再びムービーを回し、肩からはバッグを掛けている。しかもベリーはジェラ―トを食べたくて動くにも関わらず、ダーリンとナッツは身軽にヒョイヒョイ軽やかな足取りで先に歩いて言ってしまう! おい!待て!なんでこんなに不平等なんだ!思わず、口に叫びながらムービーを回していると、前から観衆の大群が押し寄せてくる。みーこたちが逆走なので、なんだか邪魔に思えたけど、ムービーを回しているので。実況中継がてら 「なんだ!なんだ!大群が押し寄せてくるぅ~!うわぁうわぁ~!ジェラ―トがこぼれるぅ~」なんて叫んでいたらみんな笑ってすれ違って行った!
バカンスシーズンの夏だからか、それとも土曜の夜だからか、いずれにしてもアプリカーレはこの村をツアーのようにして劇を見回るイベントが開かれているので、小さく、山岳の中にあっても観光客で賑わっていました。しかし、あの群衆が過ぎ去ってしまった、通路は時代をタイムスリップしたかのように静まり返っていました。
あ~それにても腕が疲れた・・・
【 vol.20 アプリカーレの隣の町 イゾラボーナ ISOLABONA へつづく 】